「ちっぽけな会話」という名のW-SIM初号機
W-SIMカードをデザインする一方で、このカードを挿入して使用するPHS携帯電話の1号機もデザインしました。それが同じ2005年に発売されたウィルコム「TT」です。
電話の中枢機能を内蔵するW-SIMカードは、いろいろな装置に入れて通信に使うことを想定しているのですが、その初号機として、基本機能を「音声通話」に絞り込んだ携帯電話を作りました。
ちなみに2号機はパソコンに接続する通信用アダプターの「DD」、3号機はスマートフォンの「W-ZERO3」です。この三つをすべて所有していたコアなW-SIMファンも結構いたみたいです。
写真では大きさが伝わりませんが、TTはとても小さな端末です。webを見ることも、財布として使うこともできませんが、通話のための操作性と握ったときの感触を大切にしてデザインしました。
発売後、意外なことにオーディオ・ビジュアル評論の大御所、麻倉怜士さんが、このTTを雑誌やwebで絶賛してくれました。
もともとPHSは、音には定評があるのですが、上部のW-SIMカードの挿入口と、レシーバーのマウント構造を一体化したところ、結果的にそのキャップの内部空間がスピーカーボックスとして機能し、とてもクリアで聞きやすい音になったのです。
このあたりの設計レイアウトは、エンジニアに任せず、私の方で図面を引いて提案したものなので、評価してもらえたことは大変うれしいのですが、実際に麻倉先生にお会いして、音響設計が良くできているとほめられたときには赤面しました。音質をねらったわけではなかったので…。
ちなみにTTという名前の由来は Tiny Talk。直訳すると「ちっぽけな会話」です。「こばなし」と訳しちゃだめです。
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最後にお知らせです。今日、設営のためにCEATECの会場に行ってきました。明日から富士通のブースで、私がデザインした携帯電話のプロトタイプが展示されます。
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[…] W-SIMやTTなどの、基礎技術開発から参加したプロジェクトがまさに架橋であり、製品の外観と内部構造は一体に開発されなければならないという事を何度も訴えていた時期でした。当然、「デザインはそういうものではない」と一蹴。 […]