からくりの手応え
「弓曳き小早舟」の操作方法を九代目玉屋庄兵衛から直々に教わりました。
操作は矢をセットして操作輪を回すだけ。簡単なようですがなかなか難しい。しかも「まちがえるとこわれますから」と言われるので、かなり緊張します。
まず、象牙と真鍮の先端を持つ柳の矢を、矢台に慎重にセットします。それが終わると操作輪を手で回すのですが、これが意外に難しい。
操作輪をまわすと、軸上に幾重にも並ぶ木のカムが、それぞれに設定されたタイミングで、たくさんの「てこ」を次々とを動かします。てこのひとつ一つが、人形の各関節と一本の糸につながっており、必要な動作を連続的に引き起こします。
操作輪の手応えは全く一定ではありません。時には軽く、ある時は重く、カクン、キリキリ、すとん。刻々と変化していく人形の所作にともなう、各部品の動きが手に取るように伝わります。
膨大な部品の作動に会わせて、回す方も、タイミングやスピードを調整する必要があります。何度も指導を受けてやっとまともに矢が飛ぶようになりました。からくりは、ただの自動人形ではなく、操作者と一体の道具なのだということを、強く実感した経験でした。
「骨」展では毎週土日に2回づつ「弓曳き小早舟」が実演されます。
[…] (写真は「弓曳き小早舟」、撮影:吉村昌也) […]